poetry

天国に咲く華よりも、地獄に咲くそれのほうが美しい。 堕ちた世界を彩る、一点の輝き。 鬼もきっと涙する。 天使には勿体ない。

堕落を許して、 怠惰を貪り、 信じるのは己のみ。 変わらず美しいのは庭に咲く薔薇。

薄汚れた天使は正装した悪魔にも劣る。

正装した悪魔が街を何食わぬ顔をして歩いている。

女性は美しき悪魔である。年齢は関係ない。

意味

ぐわわわわーん。ぐるぐるぐるぐる。きゅいーん、きゅいーん、きゅいーん。てれてれてれてれ。だららららら。ごおー、ぐおー、ぎゅぅおー。ぎぎーん。き、き、き、きー、じゃん。

始まりと終わり

夜が降り、朝が湧く。 月と太陽は巡り巡って、時が移る。

『儚さ』

今宵、満ちたから。 空に浮かび、波立てず泳ぎ、涼しく燃え、舞い落ちるように朽ち、血の気引いて白み、か細く唄い、声なく微笑み、器は潤い、泪零れ、闇に惑い、光に眩み、未来に臥し、影を重ね、昨日を悼み、あこがれに誓い、夜を離れ、美しく眠る月。それ…

『幻に見た指輪』

憂鬱に眠らないで あなたを絡め取りたい 表情は変わりなく 白い指が答えるの ずっと待っている 雨に消えないでと もしも聞こえるなら ひとつだけ教えて 爪先まで冷やして 星や湖眺めた そう、僕の光だよ あなたは気付いてた?

『夜明け』

あの朝、雲の欠片が 零れ落ちて、百合の花になる 左手、胸において 昨日までとまるで違う世界、感じる 僕は歌になって、すべてをメロディにのせて そして、舞い落ちよう 少しも報われなくとも

『その冷たさがほしい』

握るなら冷たい手がいい。 聖なる存在に触れているみたいで。 それでいて、本能が揺さぶられる。 細くて白くて長いあなたの指を、僕の指と絡める。それはもうぎこちなく。 それから、時々視線を合わせて、ゆっくり夕闇の街を歩くんだ。

『少女』

星。歌うこと。 空。願うこと。 湖。眠ること。 闇。走ること。 花。祈ること。 海。見つめること。 街。泣くこと。 光。愛すること。

声を潜めて

曇り空。霧がかかった夕暮れ。レインボーブリッジがうっすら見える。 「あなたは僕なんです」 そう思ってため息を漏らす。 あこがれと仲間意識と、あとは何だろう。

絡めた指

あなたは美しい。 戸惑い、悩み、苦しみ、躊躇い、嘆き、祈り、言葉を紡ぎ出そうとする様。そのすべてが美しいのです。 だから、お願いです。今のようにそっと咲いていてください。 そして、見つめさせてください。

record

あなたは何時でも歌っている。 詞、体温、気持ち、姿や眼差しまで変わっても、 声だけは変わらない。 その声で、いつかの言葉を僕は聴く。 止まった過去に今日も祈る。

"Inner Beauty"

美しいから、「好き」? 好きだから「美しい」? それは螺旋のように廻るけど、 入り口は、きっと、どちらでもない。

"RUBY"

ビルや塔のてっぺんの赤い光が、 息をするように静かに、 ただ、点滅を繰り返す。 今日も、窓の向こう側に 夜が生きているんだなあって。 その束の間を切り取って 詩にしよう。 君の唇に似た輝きだもの。

"lyrical"

東京の夜。 真っ暗な道と明るい空。 仕事帰り、それと、買い物をして両手に荷物を持ちながら ぼうっと歩いたときに。 小さな教会の前、階段のふたり。 色気もなく涙を流すように葉を落とすいちょう。 丸くなって目を細める、太った猫。 黄色く咲くあの花。 …

“コルセット”

夜、ひとり運転する車だって退屈じゃありません。 たとえ、通るルートが朝のそれと同じでも、 暗闇と照明ばかりの単調な構図でも、 違う気持ちで満たされているのですから。 「あの長い橋をわたる時に広がる景色で、 今日の思い出を終わりにしよう」 姿を現…

臆病な犬

もっと優しくしてほしいとか、もっと我慢してほしいとか。 他人の心をどうにかしようなどと考えるのは、 とても図々しいことです。 けれども、僕の心は容易くどうにかされてしまう。 言葉は無くても、 例えば、あなたの長い睫毛が物語るから。 図々しさの欠…

黄色い花

目を閉じれば、 すべてが思い通りの夢。 まぶたの裏に甘く焼き付ける。 されど、眠りの中の物語は、やがて色褪せるでしょう。 目を開けば、 僕の見る現は、泣いている?笑っている? そっと、この腕の中へ。 不安だって丸ごと抱きしめられるのです。 だから“…

あの丘

車を降りて、林に囲まれた砂地を行きます。 視界が開けると、そこにあった丘が僕らを天へと導く橋に思えたので、 一息つく間にそれをしっかり脳裏に焼き付け、そして、再び踏み出しました。 駆け抜けたい気持ちはあったけれども、冷たい風に抑えつけられ、 …

“暗闇の天使”

「気に入ったクラウンの首飾り」 憧れを誇るようにぶら下げる。 あの日欲しがった物はみんな手に入れたのに、 どうしてでしょう。 不安は消えません。 鏡に映る自分。 僕以外の何者でもない。それは認めたくない姿でした。 それを知られるのが怖いから、人前…

彼岸

空に架かるあの橋を虹と言うのは知っています。 赤・橙・黄・緑・青・藍・紫の七色の輝きを放つものとして皆には見えると聞きますが、 僕にはそれがわからず、灰色の放物線として目に映ります。 皆は「あの虹色が見られないだなんて可愛そう」と言います。 …

"Stand By Me"

あなたの笑う顔が、笑う声が見たい。 でも、どうすればいい? 僕のお馬鹿な失敗談でも語れば、笑ってくれますか? 数え切れなかった星空のことを思い出せば、笑ってくれますか? あの歌にあるように、「心配無いよ、大丈夫だよ」とは、 −まだ−言えないし、 …

“赤と黒”

悪意は連鎖する。 冷静な時なら、嫌なことをされても 「ああはなるまい」と、反面教師にできるけど それでも中々そうはいきません。 舌打ちのひとつでもして、どこかに怒りをぶつけようとしてしまいます。 一方、善意は。 happyな人を見ると、こちらもhappy…

“月がこぼれそう”

空を見上げれば月がある。 どうしようか。 僕にとって、いつでも月は綺麗なものだから、 「今日“は”月が綺麗ですね」 と言うのでは不適当ですし、 だったら代わりに、 「今日“も”月が綺麗ですね」と言えば 何回でも使えるからいいと、おっしゃるかも知れませ…

“「知らない」の増殖”

知れば知るほど、「知らない」が増殖します。 手紙を読めば、未だ知らぬ顔を見て、 写真を見れば、未だ知らぬ声を聴く。 そうやって欠片を拾っても、 完成に近づくどころか遠のいていくようです。 けれども落胆はしていません。 美しい世界が垣間見えたなら、…

ソワレ

隣の町の、一等大きな劇場であなたは歌っていて、 それは今も昔も変わらず。 ただ、僕のほうから離れただけ。 嫌いになったわけではありません。 ますます名声と富を得たあなたの噂は、 何処にいたって耳にします。 僕はと言えば相変わらずで、 宛てのない手…

"蝶になったあの日から"

あの丘に咲く、孤高の二文字が似合うガーベラ。 その名は「シェリー」。 たった一厘だけ、寂しそうに楽しそうに咲いている。 毎晩、それはそれは美しい声で歌うので、 生き物たちは、けっして近づけないそのガーベラの 明るくはないけれども心地よい歌を聞い…