ソワレ

隣の町の、一等大きな劇場であなたは歌っていて、
それは今も昔も変わらず。
ただ、僕のほうから離れただけ。
嫌いになったわけではありません。


ますます名声と富を得たあなたの噂は、
何処にいたって耳にします。
僕はと言えば相変わらずで、
宛てのない手紙を
何通も何通も書いては丸めてくずかごに放って次の瞬間、
急いで取り出して書き直して。
結局、前には進んでいないのです。


認めたくないという気持ちが僕を抑えていました。
でも、やっぱり会いたい。


マチネに行ってみたものの舞台上にあなたを見ません。
どうやら出番は夜だということ。
日が落ちれば、始まります。