“暗闇の天使”

「気に入ったクラウンの首飾り」
憧れを誇るようにぶら下げる。


あの日欲しがった物はみんな手に入れたのに、
どうしてでしょう。
不安は消えません。


鏡に映る自分。
僕以外の何者でもない。それは認めたくない姿でした。
それを知られるのが怖いから、人前ではひたすら隠して覆う。
なりたい自分は、遥か遠く。


身に付けるものを選ぶなら、できるだけ美しく頑丈で。
でも、とても重くて。


そんな身動きが取れない僕は知りました。
求めるあなたは所有不可能な存在だということを。
遠く離れ、手では掴めないその輝きを、
独り占めをしようとか
ここで、その価値を知っているのは僕だけだと(誇らしいことだけれど)、
鼻に掛けようとかいうつもりはないのです。
ただ、ただ、もう……


この視線の先に独りで居る、
磨かれたあなたに映る自分からは目を背けたくなるし、
纏わりつく失望や悲観や情けない言葉たちを追い払うこともできません。
しかし、有り難いことに、同時に希望もある。
自分を異形だけれども、醜いとは感じなくなりました。


少しばかり不幸せでも不安でも僕は、生き続けていけるでしょう。