『路上の十字架』

 電柱の無骨さがたまらなく格好よい。
 真っ直ぐに立つコンクリートの円柱、見通せぬ中は空洞。等間隔に打たれた作業用の杭、登り手は居ない。てっぺん近くの十字から双方向に各々五六本伸びるケーブル。雀が停まっていると尚よい。背景は透き通った青でない、僅かに曇る空。
 何処から何処へと繋がっているのだろうと空想はしない。ただ、存在する姿に魅力がある。まるで現代美術のよう。